方々で話題になっているラノヴェ、昨今の
「お兄ちゃん」と兄を溺愛する
妹属性を根本から否定し、そして全肯定する傑作
俺の妹がこんなに可愛いわけがないを読みました。
題名から察せない内容に騙されました。
「お兄ちゃん」なんて甘言を妹に期待してはいけない。これは3次元の常識です。
兄を軽蔑し
「……いいから、さわんないで」と言い放つ妹・
高坂桐乃(14歳)。しかし、妹の
ある秘密を知った兄は、妹から
人生相談を持ちかけられます。その内容とは――。
この作品は
萌えなのか?
いや、たしかに
萌える。罵詈雑言を放ちながら
人生相談する
妹。主人公を慕い支える
幼馴染。
如何にも
ラノヴェ的な
萌え属性が描かれています。
しかし、作品の
主題は別に、しっかりとあります。
厳格な父親、温和な母親、自由奔放な妹、そして凡庸を誇る主人公。以上の4人家族の関係、つまり家族愛。
そして、
妹の秘密、
人生相談から明らかになる
偏見・差別。自身が抱く
劣等感(コムプレックス)。
テンプレ(属性)、
ステレオタイプ(紋切型)を押し出して、それを否定し、そしてそれぞれが出す結論。
なんて仰々しい主題が、実に軽く巧みに描かれています。
高坂桐乃・妹の秘密=読者の共感なのに、それを否定する。どう見られどう考えられているのか、
高坂桐乃(読者)は自覚しているのに、それをさらに突っ込んでくる。
けれど、
高坂桐乃(読者)は継続する。やめる気なんてなく、
秘密を継続していく。
こういう悩みって誰にでもあって、けれど、それが具体的になればなるほど、肯定否定、偏見は増長していくんですよね。
妹の秘密を理解出来ない兄・主人公。しかし、それを通す
姿勢には共感する兄・主人公。
実は、
妹萌えじゃなくて
兄萌えな作品だったりしますw
誰でも持つ悩みを、少数派の特性を利用しつつ、問題と魅力を巧みに描く本作
俺の妹がこんなに可愛いわけがない。
妹、幼馴染、ツンデレ、熱血、家族愛、サブカル、諧謔、偏見、萌え(属性)、どれかひとつでもひっかかれば1読の価値ありかと思います。
妹属性の人は更に、実際に妹をもつ兄にも少し、妹の魅力がわかる作品となって…るはず。
ところで、一番魅力的なのは
妹ではなく
幼馴染でもなく、
沙織さんだと思うのは僕だけ?
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