もう20年前の作品である
のんのんばあとオレがDVDで発売されたので懐かしさもあって購入し観覧。
当時印象に残っていたのは、エレベータはおりる時に空を飛んでる感覚である,ドーナツが好き,の2点である。正直人間関係とか千草との恋愛以外の場面はほとんど憶えていなかった。
その印象はある程度は正しかった。
と言うのもヒロインである千草の登場は2話からで、全5話の内4/5話に出演しているし、茂の成長そのものをうながす立場,役割であったし。
千草(加山由美)は今見てもちゃんと綺麗な娘だなあ。
声が武藤寿美みたいでちょいと狙い過ぎな気もしたが、田舎もんを馬鹿にしつつも人間関係そのものを大事にしているいいキャラだった。黒髪で和服で病弱の美少女とか21世紀の現在ではもう見ることすらかなわぬよなあw
茂より歳上だってのは憶えてたけど、まず茂の年齢が思ったよりも低く小学4年生、そして千草の歳も思ったより上だった女学校1年生。
茂の言い回しが箇所箇所親父くさいのは作られた時代もだが作中時代で大人からの影響という自然な面もあったのだろう。今では世代間における言葉の差異が開きすぎて互いにわけわからんことになってるし。
全然憶えていなかった茂と千草以外も実にいいキャラをしてたしドラマに不可欠であった。
茂の両親だが、父親は前時代的な父親への反抗もありのらりくらりと「金なんか飢え死にせんくらいあればええ」と言い放ち、母は茂に勉強しろ勉強しろと紋切り型の説教をしつつも茂の絵を見てはどれどれが好きだとちゃんと感想を述べている。これが大人で親である。
また和服好きとしても楽しめた。洋服から日常着である長着に着替える父親だが下着が洋服からの時点でステテコであったり、雑談しつつ家事に入る母親やのんのんばあは袖を帯にはさんでから鍋に手を伸ばしたり、こういった細かい指導もあってニヤニヤしてしまった。
題名の割にのんのんばあは脇役に甘んじてる。彼女が問題を解決するようなものではなく、あくまで茂において両親や千草と言った人間関係の1つとしてのんのんばあが存在しつつ、それでいてちゃんとおいしいところを心得て茂に影響する。いやはやよくできている。
アニメと実写の合成とか必要なかったのでは?と思ったが、客寄せの視覚効果として必要だったのだろうか。後半はそれなりに意味のある問答もあるしな。
それにしても千草(加山由美)は可愛かった。十万億土を目指す時に茂に笑顔を向けた後に眉をあげる横顔なんて最高だ!
失恋には及ばない別離。郷愁と青春をおさめたいいドラマだった。