1989年3月に発売された復刻版
バットマン:アーカム・アサイラム 完全版が届いた。
アメコミは基本的にフルカラーなので高く、かつ今回は復刻で装丁が豪華な反面、ハードカバー故に読みにくいのが難点。値段を2/3にくらいにおさえてペーパーバックのほうが俺には有り難い。
物語云々は置いといてまず絵が凄い。漫画と言うより絵画の集合。
中には輪郭線がなく陰影で描かれてるコマもあるし実写もある。
それでいて1コマ1コマもみやすく漫画として展開してるし素晴らしい。
しかし本書を読んで
The Dark Knight Returnsや
Year Oneの利点を再認識し本書に少し物足りなさを感じた。
と言うのも素晴らしい絵とバットマンらしい善悪の相生相剋を描いてるが、その哲学的な面だけが強調されアクション性に乏しく、娯楽と言うより文学、ある1面だけの強調にすぎない。
バットマンは単純なスーパーヒーローとしての活劇と社会と個人が抱く矛盾と葛藤、その両立がなされてるから素晴らしく魅力的なのであって、前者だけの軽さ後者だけの重さ、どちらに傾注してもどこか物足りない難しい作品だと思う。
既に
The Dark Knight Returnsや
Year Oneで娯楽性が表出しきった後の本書や
The Killing Jokeだからこその哲学的な強調があるのもわかるけど、漫画としてはしんどいのも事実。
作品が駄目と言う話ではない。絵と物語の主張は素晴らしく、故に純文学的な気軽に読めない性格をしてる。
吹き出しがなくセリフが書いてあるコマが多かったが日本語フォントも傷跡のようなフォントで違和感の無い処理がされてたのは良かった。
ゲーム
バットマン アーカム・アサイラム続編も来年発売されるし、映画
ダークナイトの続編も決定してるし、またちらほらバットマンの復刻がされると思う。
日本の漫画と同じくアメコミなどもっと手軽に楽しめる環境になると嬉しいな。