入江亜季の
コダマの谷を読んだ。
こういう舞台や人物の設定を説明せずにただ背景(雰囲気)のみで描写する作品は大好きだ。作風は違えど
Cowboy Bebopに近いものを感じた。
入江亜季と言えば
群青学舎だが、それを読んでから本作や
乱と灰色の世界を読むと似たような顔,あるいは名前を見かける。
描き分けの問題ではなく、そのキャラの立場役割が明確で地続きのような、これまで3作品が単行本で発売されているが、入江亜季シリーズの連作と考えるほうが読みやすく面白いなと思った。
それにしても入江亜季の描くキャラは断片的でありながら愛らしさと人間臭さと寓話性をよくたもっている。
ウーナはまじなんであんなかわいいだろうか。気が強く頭と口が回り純真な美少女とかもうな!
オノナツメは漫画と言うより海外ドラマ的でもっと実生活に根ざした感じがあるが、入江亜季は寓話を実体験とする童心が感じられる。
断片作家(と言うのかわからんが)と言えば
今日マチ子も素敵だ。
先に
Cowboy Bebopを挙げたが、視聴者が見られるのは彼らの生活の断片であり物語は説明が少なく雰囲気で展開される、親しい関係を敵対とは別にあっさり切り離す、やわらかい笑いを誘う話でありながら人物の行動は辛辣、なるほど入江亜季は少女漫画風ハードボイルド作家なのだな。
羽海野チカにも似たハードボイルド要素を感じる。
これが2002年に自主出版された作品とは。