Aaron Sorkinが脚本を書いてると言うので
マネーボール を見てきた。
原作は映画のために読んだが半分くらいのとこで止まってる。
Aaron Sorkinが関わった割には会話はおとなしくえらい普通だったかなw
蘊蓄と皮肉をあわせた長台詞もなく、会話の内容は誰にでもわかる誰にでも言えるものばかり。
ソーシャルネットワークの突っ張りとザ・ホワイトハウスばりの蘊蓄と浪漫を期待すると肩すかし。
見た後に知ったのだが主に改稿が仕事だったのね…w
実話をもとにしてるってのもあって、できるだけ現実的な地味な演出で見せてる。
音楽よりもSEを大切にしてた。
勿論野球なのでバットがボールをとらえる音とかもなのだが、ブラッド・ピット(ビリー・ビーン)がオーナーと話してる時の椅子のきしみや、離婚した元妻と男と一緒に娘を待つ時の貧乏ゆすりなど、絵(カット)は全然そういう仕草を見せずブラピ自体も映してないのにこれらの音だけがちらちらと聞こえる。
音楽はひかえめでドラマのアイキャッチが如く、ほとんど会話中にはいれてこなかった。
短いカットの映像で説明する場面において活躍するだけで、大事な場面でこれみよがしには攻めてこなかった。
音楽は
Mychael Danna (
マイケル・ダナ )。
曲自体はつまらないと言えばつまらないけど作品の雰囲気を作ってたし良かった。
にしてもAaron Sorkinという偏見があるせいか
テーマ曲がまんまソーシャルネットワーク だな…と思った。
あれのピアノをギターにした感じ。
邪魔にならない音楽って考えると路線が被るのは当然だけど何か笑ってしまった。
本作ではインストのテーマと歌のテーマが2曲あって後者のほうが演出的にも印象深い。
Kerris Dorsey performs "The Show" by Lenka acoustic song from Moneyball
VIDEO
編集は雑ではなかったか?
場面を説明すると誰かとの会話とブラピ1人悩みの繰り返しなのだが、人物aとの会話から人物bへの会話へ飛ぶのが唐突というか、先にあげたブラピが娘を待つとこなんてまさにだが、待ってる場面から娘と楽器屋にいる場面転換が唐突というか、全体的に説明に必要な場面を連続したPVっぽい印象があった。
実話をもとにして実際の映像もたまに差し込まれてるのだが、映画用に撮られた野球場面が、ダイジェストとして流れるだけなので、映画の連続した映像っていうよりも実話なのに嘘の映像が入ってる胡散臭さが目立ってしまうというか…映像は奇麗なのに
ここまでやるなら、野球の場面は選手との会話をのぞいて全て実際の映像で構築し、それに対してブラピらが反応するって構成のほうが説得力があったんじゃなかろうか?
同じくAaron Sorkinが関わった
チャーリー・ウィルソンズ・ウォー も似た演出構成だが、あれは現実問題なのに場所によって乖離した感覚、という意味もあったので違和感なかったが、本作では全てが地続きという構成でありながら、えらいぶつ切りな感じがした。
あとこれは仕方ないのだけど短い時間で時間経過を説明するにはやはり年代を文字で示すしか無いよね。
ああいう演出は途端に作りものだと見せつけられてる感じで好きじゃないのだが。
やたらとブラピが何かを食べるカットが多かったが、あれは取材しましたよビリービーンの癖ですよってことなのか?
話ながら食べる、歩きながら食べる、ながら食べが凄く多かった。
結局アスレチックスは優勝できずレッドソックスにもってかれた場面には笑った。
というのも、アメリカのドラマでボストンを舞台にした法廷もの
ボストンリーガル という作品があるのだが、ここでレッドソックスが優勝した翌年には出産率があがった(野球に興奮した者たちがそのテンションでセックスして)という小話をする場面があり、異なる作品が共有してる事実、アメコミ的なクロスオーバ感覚、色色と連想して笑ってしまった。
他にも「ファーストなんて簡単だよ」「いや凄く難しい」のボケ突っ込みに、別チームやオーナと交渉してる電話で声を変えずに通話中にガッツポーズを決めてる
Jonah Hill は声をだして笑った。
映画的にも映像的にも格好よかったのは、アスレチックスが20連勝の記録をかけた試合でブラピが試合展開から急いで車で戻るとこ。
ああいう長回し1カットでスピード感あるのはやっぱしびれる。
しかしあそこを見ると、20連勝目をかけた現実の試合映像こそ見たいなと思った。先が確定できない現実においてあんな展開見せられたらそりゃもう大興奮だろうなと。
キャッチャからファーストに転向させられる選手の娘が凄くかわいかった幼女最高。
本作でも子供なりの聡明な娘がいい役だが
アメリカン・プレジデント を連想してニヤニヤしてた。
本作ではあの靴のようなロマンチックなやりとりとか無いけども、その代わりに歌って感じか。
全体的に丁寧なのに今一歩足りない気がした。
誇張すると説得力が失せるし現実には「奇麗な結果」が無い板挟みな題材なだけに難しいことを処理しきれずに終わった感じ。
手段はあくまで手段であり、結果を最優先してる割には手段に固執してる矛盾もあるし、キャラの葛藤とは別に台詞にもあったが「なにしてんの?」と。
ブラピとちょいと味が違うスポ根が見たいなら楽しめるだろうが、観客にわかったような気にさせる巧みかつロマンチックな丁々発止=Aaron Sorkinを期待してるならこれはもう残念な結果。
おとなしく新作ドラマの
More As This Story Develops と実現不明のジョブズ映画脚本を待つとしよう。