三銃士 王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船を見た。
それなりに面白かったけど、それだけに残念だった。
冒頭はキャラ紹介をかねたアクションシーンだったが、堂々とした切り合いではなく隠密の潜入場面で、イタリアのヴェネツィアが舞台だったのもあってか、アサシンクリードを映画化したような妙な感覚で笑えた。その時代っぽく実在しない武器によって潜入するからなおさらw
三銃士と
ミラ・ジョヴォヴィッチによる関係と設定説明のあと、ダルタニアンに切り替わって三銃士と合流という構成なのだが、面白かったのは合流して4対40の殺陣をやったとこまで。
この殺陣は見事だった。ちゃんとした段取りなのに約束組み手に見えない、乱れてるけど整ってる素晴らしい殺陣だった。
ただこれは作品全体に言えるのだが、役者の動きはちゃんとしてるのにカット割が1初動,2着地と間の動作のつながりがないのだ。
ミラ・ジョヴォヴィッチの格好いい飛び降り潜入の場面がわかりやすいとこで、1飛び降りる,2ギミックが拡大,3着地後、と着地する瞬間バサッて場面がないのでどうにも一連の動きとして感じられない。
また過剰なスローモーションの多用でうっとうしい映像。しかもハイスピードカメラと通常のカメラの併用だったためか、同じスローモーションでもしっかり奇麗なカットとフレーム数が足りてない乱れたスローモーションとが混在していびつだった。
イギリスに潜入したとこが見せ場になるのかと思ってたら、あっさりとイギリスを出し抜いてさっさとおさらば、ピンチから脱するカタルシスが全くない。
こういった作品は
1キャラ紹介と少数対多数の派手な殺陣、2敵により問題がおきて状況説明、3少数で敵地に挑み多数に囲まれピンチ、4最初に見せた以上の少数対多数の派手な殺陣の後に1騎打ち勝利(完)だと思うのだが、結局派手な殺陣は最初に1回あるだけで、あとはコンピュータで作った、あるいはあきらかにスタジオセットの場面ばかりでちちくりあうばかり。
ひらけた草原を馬で走る、ただそれだけだがロケで広角な1カットのほうがよほど格好よく迫力があった。
衣装や城の美術は凄くこってるのに、だから飛空挺とか一部のCGやセットがいかにも作りもので温度差が酷かった。というか城はセットじゃなくて実在するとこのロケなのかな?
ミラ・ジョヴォヴィッチがヒロインだと思ったら、違ったのね。原作を読んだことがないのでよくわからないけど、侍女のコンスタンスがヒロインだったのね。そのコンスタンス役
ガブリエラ・ウィルデは良かった。にしてもデレがはやすぎてただのビッチだったけど、縛られてたときのおっぱい凄かった。
都会のウィットって何だろうね、火曜日と美人の前ではってやつ、別に言うほどおしゃれでもないと思ったのだけど…。バットマンビギンズのdidn't you get the memoやアイアンマンのisn't that strange? It's the same day as last year.くらいのものを見せてほしかった。
ミラ・ジョヴォヴィッチのキャラが不安定だったように思う。最後に生きてたという落ちはおやくそくだからいいんだけど、助かったと知ったとき、生きる気じゃなくちゃんと死ぬつもりだったと伺える反応なのだが、だとすると裏切りを繰り返す性格と無計画さが乖離してる。
アトスがダルタニアンに国より女をとれってのも、むしろ逆だろ。あの状況だからこそ信念、祖国といったものをうたってダルタニアンは反抗しつつも結果的に女と祖国のためになる行動をとる、みたいなほうが自然では?誰も彼もいきあたりばったりで作品における成長とか見せ場に欠ける。
映画の終わり方も、1人は皆のために…のおやくそくであわせた剣のカットで終わればいいのに、あれやったあと妙な落ちをつけるからよくわからん雰囲気だったし。
ところで、作中に面舵一杯というセリフがあるんだけど、これ英語ではHard Rightと言ってた。何故Starboardではなかったんだ?一般人には通じないのか?それとも脚本の勉強不足?