ネタバレしまくり。
来年には続編が上映される
ヒックとドラゴンの宣伝もかねて、と思ったけど映像をそのまま文字変換して説明してるので、無駄に文章が長いし
ネタバレしまくり。
この作品自体、あらすじで物語の全てと言ってよく、見る前に100%わかりきった作品なのに、実際に見みてみると映画は400%を超えているので、この記事を映画未見で読んでも、絶対に面白いので是非DVDなりBDで見てくれ。
感想というより、構成で気づいた点のまとめ、に近い。
以下ネタバレ
主に、本編1時18分(ヒックとトゥースが海に落ちる)から1時20分(トゥースのブレスでラスボスを転倒させる)までの2分強について語る。
ここを語るだけで、この作品全体を語ることになると思う。
それくらいに、それまで見せてきた要素を見事に回収して集積した結実を示している。
ラスボスのじたばたで、船に拘束されたトゥースと、それを助けようとしているヒックが海に落ちる場面。
海に落ちてから、トゥースは沈み、ヒックは潜って追いつくも息が続かずに失神する。
ここで流れる悲壮感あるストリングスの音楽は、本編13分頃に、まだトゥース(ナイトフューリー)と敵対していたヒックがナイフでトゥースを殺そうとする場面と同じ曲。
同じ音楽ながら、命懸けの関係が逆転している。
殺そうとした過去から助けようとしている現在の対比となっている。
そして、失神したヒックを助けるストイック。
ヒックの姿が遠のき海中で吠えるトゥース。
あの必死で愛らしくも悲壮な感じがもうやばい5億点。
ストイックがヒックを助けるにあたり、ちゃんと後ろからひっぱってる。
ヒックは失神してたが、溺れている人はパニクって救助者をがむしゃらにつかもうとして巻き込んでしまうから、救助者は後ろからいく、というのは有名な話だ。
ストイック自身はラスボス戦およびバイキングとドラゴンという種族間の問題で間違えたが、かといって彼がつちかったものが無駄ではない、という要素も見出せる。
そして、ヒックの覚醒を確認するまもなくストイックは再び海に潜る。
ここで、もう何もかも諦めて静かに眠るようなトゥースがやばすぎる5億点。
トゥースを拘束し命の危機まで招いたストイック本人が、命をかけて、そしてヒックには出来なかった腕力による単純な、そして必須なチカラをふるってトゥースを助け、個人的な謝罪と種族間の和解を果たしている。
海中で少しの間、お互いに探り合う対面があるのがまたたまらん。これがまたやばい。
このあたりは、個人的に、
うしおととらのとらと真由子を連想した。Wデートを夢想しながら「戻らないね」のくだりね…。
そして、ここからがやばい。
拘束をとかれたトゥースがストイックに襲いかかる、ように見えて、ストイックをつかまえて海中から脱する。
海上に姿をあらわすと同時にテーマ曲が流れる演出5億点!!
トゥースはやさしくストイックをおろして自身も着地する。
カメラがその姿を追いかけると、着地したトゥースの後ろ姿の先に、遠くにいながら、それでもなお巨大な姿を見せるドラゴン(ラスボス)がいて、トゥースは顔だけを後ろにいるヒックに向けて「行くぞ」と言わんばかりに首をくいっと動かして小さく鳴く。
なんだよこの構図!! この1カット5億点!!
トゥースに「You got it, bud.」と答えてトゥースにまたがるヒック。
ここでヒックの隣にいてゼエハア言ってるストイックの立ちかたが無駄に格好いい気がするw
ラスボスに向かおうとトゥースにまたがるヒックを、ストイックがヒックの左腕をつかんで呼び止める。
この場面は、ストイックがドラゴンを根絶やそうと最終決戦地に向かうところで、それを止めようとヒックが「1度でいいから僕の話を聞いてよ!」とストイックの左腕をつかむも振りほどかれてしまう場面と同じ構図。
その時にストイックは強く拒絶したが、立場が逆転してストイックがヒックの腕をつかんだ時に、ヒックは驚くも振りほどかず、かつてヒックがやった行動から更に重ねて、ストイックは手をそえて両手で優しくヒックの手を握り謝罪する。
この「I'm sorry... for everything.」のforで1回言葉につまって1瞬目をそらしてからヒックを見直して言い続ける演技がやばすぎる5億点。
ここで
ストイックは兜をかぶっていない。
この前に見られるストイックと、この後に見られるストイックは兜をかぶっている。
つまり、これは明らかに意図した演出なのだ。
バイキングの象徴だった兜をとって人として父としてヒックと向き合ったストイック。そして、自分の不出来から父に劣等感をもっていた
兜をかぶらぬヒックが、トゥースとの個人的な交流からバイキングとドラゴン全体に通じる思想を見出し「We're Vikings. It's an occupational hazard.」とバイキングのありかたを語る。
このhazardって言ったあとに、ラスボスがカメラには入っていないが遠くから咆哮だけが響いてくる演出のラスボス空気読み過ぎw
そして、ストイックの謝罪にヒックが「me too」と答えてから「Thanks dad.」と絞り出すように静かに確かに言うヒック声優の演技5億点!!
そして、ここからがやばい。ここからがやばい。
静かで確信ある親子の会話からいっ変、バサっと飛び立ち、ストイックをおいてラスボスと戦うために飛び垂直上昇するヒックとトゥース。
カメラはこれを、ヒックとトゥースの正面からとらえた構図になっている。
つまり、視覚的上昇感と同時に、父よりも上へ、前へ進んで父親よりも大きくなっていく息子の情緒的意味が視覚効果と共に見出せるのだ。
なんだよこれ!! やべえぞ!! 5億点!!
次のカットで、上昇していくヒックとトゥースに遠くから気づいたのはヒロインのアスティ。
アスティは典型的ツンデレで、ヒックよりも身体能力が高く、それ故にヒックを見下していた。
しかし、ヒックによる腕力以外の
ドラゴン退治じゃなく対峙方法と、ヒックとトゥースの秘密の関係を知り、最初は抵抗しながらもトゥースに乗りヒックと飛ぶことでデレた、攻略されたのだが、かつては見下していたこともあった男が空にのぼり、そして指ほど小さく見える遠い場所にいるヒックの行動に真っ先に気づき、文字通り高く遠い存在となっていくヒックとそれを招いたトゥースを見て心から喜び笑顔で「He's up!」と仲間達に大声で伝えるのだ。
なんだよこれエロゲ主人公のたらしってレベルじゃねえぞ5億点!!
アスティと愉快な仲間達
そして、主役の再起を確認するや、トゥース救出まで時間を稼いでいたアスティと愉快な仲間達。
これら愉快な仲間達は、ヒックと一緒にドラゴン退治の訓練をして、アスティと同じく最初はヒックを見下しながらもヒックのドラゴン
対峙を見て掌返した子供達w
この子供達の時間稼ぎ描写も実に丁寧。
ドラゴンは騒音に弱い、というので盾を叩いた騒音でラスボスの足をゆるめるも、同時に自分達が乗っていたドラゴンも弱ってしまいドラゴンが落ちてしまう。作中の理屈がちゃんと利鈍として機能している。
その際に、子供の1人
レッドミストがドラゴンと一緒に落ちる前に、同じくドラゴンが落ちてしまいラスボスに飛び乗って生き残った仲間
ジョナ・ヒルにハンマーを投げ渡してから落ちていく。
これによって、ヒック(とトゥース)の単独活躍の前に、中心人物に依存しない仲間関係が感じられるし、
ジョナ・ヒルが受け取ったハンマーでラスボスの目を叩くとラスボスが乱れて、決め手にならないが打つ手はある感じも何となく臭わせている。
嫁、再び
話(時系列)を「He's up!」に戻す。
ヒックとトゥースの上昇を確認して、ラスボスから逃げていく愉快な仲間達。その際に、アスティが乗るドラゴンがラスボスの目にとまり、ラスボスの吸い込みによって逃げ切れず段々とラスボスのくちに吸い寄せられるアスティ。
そこへ鳴り響く風切り音。
空からの音源に見える小さき影。
音と影によってトゥースの存在を察して、戦いを見守るバイキングの「Night Fury! Get down!」の叫び。
この台詞は本編で4回あって、このラスボス戦で3回目。
これについては4回目の時に詳述するが、この時点ではバイキング達は細かい事情の変化を知らずにNight Fury(ナイトフューリー)=トゥースをまだ敵だと思っている。そのため警戒の叫びなのだ。
風切り音が聞こえるとカメラが地上から空を仰いでいる構図となり、ナイトフューリーの代名詞ともなる風切り音と、小さいがとてつもなく速く飛んでいる影、
この1カットがもう最高にやばい。
このカットを見た時に無意識に「…かっけえ…」とつぶやいてしまった5億点!!
この場面、もしかしてスーパーマンを意識したのかな?とも思った。
そして、ここからがやばい。ここからがやばい。ここからがやばい。
ラスボスの吸引にかろうじて抵抗し飛び続けているアスティ。
そのラスボスの口元にヒックとトゥースが正面から飛び込み、ドラゴンの大小に関わらず弱点である口内にトゥースがブレスを吐いてラスボスをひるませてアスティを助ける。
と思いきやブレスの爆発によってアスティは乗ってたドラゴンから投げ出される。
空中落下するアスティをつかまえるトゥース。
つかまえたか?とトゥースに聞くヒック。
それを聞いて首を前にまげて自分の足下を見るトゥース。この時のトゥースの顔がやばいけど、まだ。
トゥースが見た先には、足をつかまれて逆さ吊り、しかしこれ以上ない笑顔のアスティ。
その笑顔、5億点!!
アスティの笑顔を見て、小さく鳴いて応えるトゥース。
その鳴き顔、5億点!!
そして、ここからがやばい。ここからがやばい。ここからがやばい。ここからがやばい。
地上に近づき、逆さ吊りのアスティをひょいっとまわして上下の姿勢をなおしてからおろし、そのまま、カメラ奥に見えるラスボスに向かって飛び去っていくヒックとトゥース。
そして、カメラは飛び去っていくヒックとトゥースの後ろ姿を追うのかと思いきやアスティの正面に回り込み、アスティが静かにひと言
「Go」この場面www初見でwww号泣www5億点www
この1連は、単純にアクション映画としても素晴らしく問答無用の興奮を招いてくれるが、この作品がそれだけで終わらないのは、なぜここで絶頂なのかと言うと…
アスティがバイキングとドラゴンの敵対関係を疑わず、ヒックとトゥースの秘密の関係を知った際に、バイキングの仲間達に報告しようと逃げ出すも、トゥースにつかまってしまう。
ちなみに、この時に逃げ出すアスティを見てるトゥースのジト目がやばい5億点。
走って逃げるアスティの肩をトゥースがつかまえて飛び、人がのぼれずおりられない高い木の枝にアスティを投げ捨てる。
トゥースにまたがっているヒックに怒りながら「早くおろして!」と要求するアスティ。
この時、ヒックは困った顔をアスティにむけて、ヒックとトゥース(=バイキングとドラゴン)の共生の可能性を考えるように説得するが、ヒックの顔の隣に見えるトゥースは、白面の者よろしくアスティに顔をむけず目だけで見下しているのだ。
つまり、ラスボス戦におけるヒーローのヒロイン救出という、ただのおやくそく、アクションとしての視覚効果さえ良ければ(それだけでも難しいが)良い場面が、あの完成された娯楽作品である
天空の城ラピュタですら活劇と恋愛だけ飛行による救出が、まだ確執があった頃の行動を逆転した構成になっているのだ。
当時アスティへの不信ゆえにアスティを見ていたヒックが確信ある関係となった時にアスティの姿を見ず(見えず)、肩どころか足をつかまれて逆さ吊り、最初よりも酷い姿勢でありながら「おろして」とも言わず、トゥースも見下さずに飛んでる最中に首をまげて顔をアスティに向けて、それに笑顔を見せるアスティと鳴いてみせるトゥース。
かつてアスティを雑に放り投げたのも、姿勢をなおしてやさしくおろして去っていく。
まだ確執の場面では、アスティが渋々トゥースに乗るのだが、ラスボス戦では一緒に居続けたくともいられない立場と状況で、アスティを置いて飛び去っていくヒックとトゥースに「Go」とヒックとトゥースには聞こえぬくらい小さく、しかし明瞭につぶやくのだ。
なにこの構成力5億点。
そして、ヒックとトゥースが再び上昇、ラスボスに向かい急降下ブレスでラスボスを転倒させると同時にテーマ曲が終了5億点。
このカメラアングルもトゥースの後ろを追いかける構図で5億点。
ここまで書いて、本編の経過時間はおおよそ2分半。
とどめじゃないよ?転倒だよ?ここからラスボスとの一騎打ちだよ?
エンディング
バイキングがトゥース(Night Fury)の飛行する風切り音で警戒を叫ぶのは4回ある。
Night Fury! Get down!
バイキングがNight Furyと叫ぶ場面まとめ
- 冒頭のバイキングとドラゴンの戦い
- 中盤でドラゴンに襲われているヒックを助けようとトゥースがバイキング本拠に飛び込みポケモンスタジアムする時
- ラスボス戦でアスティを助ける時
- 最後に本拠でヒックとじゃれるために家から出てきた時
この4回目。ラスボス戦が終わり平和を迎えたバイキングの島で、トゥース(Night Fury)という存在がもはや脅威ではなく仲間と認識しながら、それでもトゥース(Night Fury)の手のつけれない腕白さに頭をやいて叫ぶバイキング。そして、同じ言葉でありながら敵意と好意が逆転している結末。
最大のネタバレ
ラスボス戦により、ヒックは左足を失う。
これは、まだ敵対していた時にヒックがトゥースを攻撃した結果、トゥースの左尾鰭が失われ単独では飛べなくなったことへの贖罪なのだが、左足を失いよろけるヒックをトゥースが背中を貸して支え歩く場面、カメラが歩く2人の後ろ姿をとらえているが、歩いてる際にトゥースの尻尾がゆっくりと振られてヒックの左足とトゥースの左尾鰭をさりげなく、しかし象徴的に見せている。
最後の場面も、島中を飛び回り、少しずつ仲間がカメラに入って増えていき、そして最後にヒックとトゥースだけが上昇し太陽に向かって飛んでいく後ろ姿からエンドタイトル。
なんという
ダークナイトwww
これ見てから、
スカイリムのDLCやりたくなったよw
カメラ演出も、ゲーム的、主観的な構図も多く現代的。
この作品を見ると、これまで見てきたやってきたドラゴンファンタジーものを再びやりたく読みたくなる。
アメリカでは2011年に上映されたのだが、2011年までの作品を取り扱った
死ぬまでに観たい映画1001本には本作は書かれていなかった。上映時期が少し遅かったのかな?
ここまで具体的なネタバレをしておいて何だが、確実に、死ぬまでに観たい映画の1本ではある。
来年の6月には続編が上映される。
今度こそ売れるといいな、日本で。