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【009 RE:CYBORG】3Dが酷すぎてフランソワーズに勃たない このエントリーをはてなブックマークに追加

3D

009がTVを見る最初の場面であっけにとられてしまった。3Dが酷い。近年、視覚的には2Dでも連続した動きを簡単に作れる3Dを加工、または、なぞって2Dにするのはよくあるけど、009は基本的に3Dモデルを2Dに加工して見せている。この出来が酷い。

2004年のAPPLESEEDを見たときにも酷いと思ったけど、今でも3Dってこの程度なのか。
フランソワーズが自分だけ3年歳をとった、と下着姿でせまる場面は情緒も萌えもあわさって斎藤千和も声もエロい名場面だったが、構図やカット割は素晴らしいのに、薄っぺらい3Dがつるつる動くだけなので全然のめりこめなかった。日本のキスって、一般だと硬直、18禁だと舌の動きをまんま見せる下品、接着してから接着したまんま手や首や全身をつかってする洋画的なものがなく、その点で動きだけなら良かったのだけど、人格もなにもないつるつる3Dが動いてるだけにしか見えず全く感じるものがなかった。今時、1500円で売られてるエロ同人動画だってまともな質で動くのに。
つまり、全体的に3D質が低い。
3Dは動物より無機物に有効だけど、カメラが動いて金網がスクロールするのも、どうして金網まで3Dにしちゃったのだろうか。動かす必要がある飛行機や自動車ならどもかく、もう何10年もおこなわれてきた単純な動画、平面のスクロールすら3Dにして、しかもその画質が酷いものだから、世界中とびまわり様々な背景が見える高揚が得られるはずが、ただ間延びした映像を見せられるだけに終わっている。

イノセンスでは3Dがまともにつかえる環境でありながら、車の走りを3Dでやったら走ってるのではなく滑ってるように見えるからとあえて2D手書きにした、という話がある。それをやったIGが今更こんなつるつる3Dをやるものだから余計に酷いと感じた。
009に限らず、手前の被写体Aと奥の被写体Bの場面。被写体Aが手前に向かっているが大小が変わらず少し左右に動かすことで、あたかもZ軸に動いてるように感じさせるアニメの嘘演出があるが、2Dなら違和感ないのだが、被写体が3Dで動いてるのに視覚演出が2Dだから気持ち悪い。

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Qにも同じ3D駄目さを感じた。巨大な船が3D、背景は手書き2Dなのだが、背景は広角レンズの歪みを考慮した作画なのに、3DモデルはZ軸に動かしてるだけで歪んでないから、巨大に見えない。
2Dと違い3Dだとカメラ動かしほうだいだからと、人物のアップからひいて背景全体、という構図が多すぎる。同じ構図、カメラ演出は、複数話の作品で各話に1回おこなわられるなら作品の個性として印象深く、売りになるが、2時間程度の中で何度も見せられるとうんざりする。

彼の声()

009の加速装置と同様に、一部の人間だけがある特殊な状況や状態時に限り見出せるもの、というのは素晴らしい着眼であり演出だったと思うが、その体験が結局個人の思い込みと何が違うのか説明できていない。
押井守の悪いところを受け継いだ引用地獄。
ここまで造形やら映像に格好つけておきながら、肝心の精神性や場面転換を示す存在が女子高生と金髪ロリって…。特に後者は結局見せる必要が全くない演出だったし。
最後に直球で神に問う場面があまりに酷い。 アメリカの正義を肯定しつつ、それがアメリカ以外が望んだことなのか、と009が問うのも幼い。現実のパワープレイならともかく、問題を打破する能力がないのに問題があるのは気にくわないが問題解決者も気にくわない、なんてのは「なんで生んだんだよ」と切れる子供と変わらない。明確な要求もなく願望だけが肥大してそれを疑問に思わない、知能が無い行動。
全体的に、視覚装飾は大人むけなのに、内容展開は子供むけ。

語尾アル

原作を大事にした結果だろうが、今時、語尾にアルって…。
この語尾アルに関してはピジン言語の具体的な解説から人種差別、どのように娯楽作品の記号と変化したかを研究しているヴァーチャル日本語 役割語の謎に色色と書かれている。
1879年に英語圏の人間が日本語を解説したExercises in the Yokohama dialectには、it is nineをココノツ アリマスと書かれている、など。
もともと、お嬢様言葉の来歴に興味をもって、それらを扱うを本を探していたら行き着いたのだが、明治、大正、昭和の記録などから現在の記号に結びつくのは面白い。

原作準拠と言えば、009に思入れが無いから、隠密行動なのにあのマフラーを全員がしてる、という絵が笑うしかなかった。
テレポートの回数に限界があるのも、匂わせるでもなく唐突に最後の1回だと示されるから、全く危機感がなく作者の都合を押し付けられただけ。
加速装置の受け身は格好よかった。しかし、加速装置の演出がずっと同じ、かつ無駄な決めポーズを毎回見せるから格好悪くてしょうがない。
ダークナイト トリロジーはリアルにすればするほど滑稽、と叩かれたが、自分にとっては、この009こそまさにそれ。
音楽も酷い。1時間で作ったみたいな4つ打ちズギャギャ曲。川井憲次はスカイ・クロラ精霊の守り人はいい仕事してたのに、どうしてこうなった。
といっても過去の仕事を振り返ると、今回みたいなのが川井憲次節なので、個人のファンとしてはむしろ燃えるのかもしれない。
フランソワーズは本当にもったいない。全部手書き2Dだったら映画はあれでも本年最高のヒロインになりえたのに。

感想(考察) [ 2013/06/05 00:40 ]