題名に惹かれて所謂ジャケ買いした小説。
しかも概要を誤読して不倫相手に振られて疲れたヒロインと海賊の歴史活劇だと思ったら不倫と海賊は無関係でがっかりw
日本の思春期礼賛とは少し離れたくて海外作品を選んだところもあったのでセルフ二重の極みだった。
翻訳は言葉遣いの狙いがどうしてもオリジナルとは異なり意味はわかっても意図がわからん冗長が目立つので苦手だが、これもそうだった。
ハリウッド映画の脚本を邦訳も併記してる
ダークナイト(名作映画完全セリフ集スクリーンプレイ・シリーズ)を読んで初めて英語の駄洒落に気づくなど、翻訳ってやっぱり限界がある。英語優越ではなく、言葉は意味と発音の両立なのだな、と自明を再認識する。
そして異なる言語を口にしながら通じる何かもある。
これは言うなればヨーロッパスイーツ小説だ。
女性の自己愛によってなりたってる。
現代と1625年の関係がネバーエンディングストーリのように読者と記述の関係で結ばれるが、つまり『女』というだけで共有した気になってるが関係は浅薄。
1625年の展開はたしかに劇的で幻想的だが、これが童話の体裁ならば好奇心と教訓に満ちて素晴らしいのかもしれないけどある歴史と犯罪と女性における事実、とすると実にぬるい。いけ好かないクラスメートにおちょくられてあんな奴大嫌いなのにどうしてこんなに胸がドキドキするの…結局はそれである。
あれほど凄まじい経験をした1625年のヒロインが1度も陵辱されずただイイ男とだけ出会い何とかなってるのは幼馴染と義妹が無条件で好いてきて3Pするエロゲ並に気持ち悪かった。
この作品の全体的な気持ち悪さはそこにある。
一般小説、しかもあるていどの年齢を見越した作品だと俺が思い込んでいたのが悪いのかもしれないが、何て事はなくこれは若い女性向けのロマンスなのだ。
だから個人的には失敗だ。
群青学舎に掲載されてるような悪漢と姫君のロマンスなど大好きだが、これに期待してたのはもっと深く重いものだったので完全に読み違い。
The Dark Knightのつもりで見たらOld BATMANだった…みたいなw
個人的には以下2点が収穫。
前者は女性的な描写で。後者は一般論として。
「僕にはさよならは言わないのか?」マイケルは憮然として言った。
「私たちはだいぶ前にさよならを言ったような気がするんだけど」すまして言うと。彼の視線を背に感じながら歩き去った。
「ずいぶん敬意をこめてお話しされるんですね。海賊の首領のこととは思えないほどだわ」カレドは微笑んだ。「あなたの国のロビン・フッドや、それからフランシス・ドレイク、それにリチャード獅子心王について私も同じことを言いますよ。ある文化の英雄は別の文化で悪者なんです。私たちがどちらの文化の側にいるかというだけのことですよ」
先日完結した
潔く柔くに近い脱力。皮肉がきいて劇的なのに最後は結局そこかよ、みたいな残念さ。やっぱエロゲもスイーツも苦手だw