評判だけで
原作は未読なのですが、
浅田次郎原作を
ながやす巧が作画した漫画【
壬生義士伝】を読みました。
大正時代に下り、
新撰組の生き残りが語る、進行ではなくあくまで完結した過去の話として描かれてるのに面食らった。
しかも僕が知ってる生き残りは
斉藤一と
永倉新八だけなので、そうでない元平隊士が語る、と言う点でもちょっと弱いかな、とも思った。
しかし、僕は未読とは言え
映画や
ドラマなど複数に派生するほどの作品、いざ読んでみたら素晴らしいの何の。
僕は主人公の
吉村貫一郎を知りませんが、作品の題材として描かれる面々とは異なる人物故に、読者とある程度共有した視点で彼らが見え、それが実に人間臭く、それぞれに魅力と粗がある。
吉村貫一郎自身も実在の人物ながら謎が多く、そのほとんどが類推による味付けらしい。
1巻では彼が恐らく死ぬであろう場面から始まり、まだそのキャラが�めなかったが、
2巻で彼が周囲に馬鹿にされながら守銭奴として生きる覚悟、それに僕は不覚にも打たれた。
新撰組の面面に「ありがとうございます。ありがとうございます」とひたすら頭を下げて礼する場面は
ながやす巧万歳。彼が、彼ら
新撰組としての指向と、その中に居る組員(隊士)が抱える欲求、その対比と合致が、彼の所作(
ながやす巧の作画)で現れてる。
金のために、そしてその金は誰のために。
妙なところで終わったと思ったら、掲載されていた雑誌が廃刊になり、そのための1部完結らしいです。
劇画って今日日そんなに売れないよねw
最近だと、
ヴィンランドサガ,
ベルセルク,
Steel Ball Runなどは肝心な場面では線で陰影をつける
劇画的な絵(演出)で作品が盛り上がってますが、本作も
斉藤一が抜刀するコマなんて鬼気迫る素晴らしい描写。こういう力がある作家(作品)はもう少し売れても良いと思うのですが(最近
ヴィンランドサガが累計で100万前後しか売れてないと知ってSHOCK!!)。
僕が歳をとってきたからか、誇張絵(萌え絵)も1つの魅力だけど、
劇画もしびれますね。
もともと悲哀だとか
ハードボイルドだとか好きなので、この作品は是非漫画として完結させて欲しい。
シグルイのヒットや、
JESUSがまさかの続編など、
劇画もまだまだいけますね。
関連リンク
◆
浅田次郎 - Wikipedia◆
ながやす巧 - Wikipedia◆
壬生義士伝 - Wikipedia
Tags : 浅田次郎 ながやす巧 壬生義士伝 劇画