紺野キタ【
ひみつの階段】を読みました。
苦手だ。僕はこういう雰囲気だけでなりたってる作品が苦手だw
女子校の寄宿舎に住まう女の子が、ある筈もない階段を歩むと、そこには見知った場所に見知らぬ女の子達がいる不可思議な空間。怪談でもなければファンタジと言うほど華々しくもなく、その場その人と雑談に華を添える。
男子寮を舞台にした
ここはグリーン・ウッドではドタバタ話として幽霊が出たり何だりとしますが、今作はそういう要素、幽霊なども1つの遊びとしてありますがただひと時を過ごした女の子であり、害をなさずただ悩んで話して消え去り、それじゃあまた明日、という感じ。
部屋に入ったら見慣れた部屋なのに実は未来に来ちゃった、などなど童話に近い体裁です。
実際、経験をしたからどうなるものでもなく、その体験を楽しんだり、あるいは少し恐れたり、その時々の彼女らが描かれるだけで、つまりとりとめのない空想にひたっている(登場人物にとってはまぎれもない経験)。
■美しき厨二病
娯楽作品というより、空想を描いただけ。
年頃の女の子らしく思い描いた突飛もなく刺戟的だけど絶対に安全な都合の良い空想。
女の子(=読者である自分達)は綺麗で素敵で駄目なところも魅力なのだと
中二病を
思い出(具体的な経験じゃなく抽象的な共通点)として扱っているからこそ、それを経験した女性にとっては笑える良い雰囲気漫画なのだと思う。
でも、その経験が無い女性、あるいは男性にとっては、感情も関係も1方向にしか動いていない、実にいたたまれない作品じゃないかと感じた。
魍魎の匣における加菜子が頼子が読者にとって滑稽であるように(あれはそう見せるために書いてあるけど)。
群青学舎のような幻想的な話ばかりで、これを綺麗な不思議と取るか歪な不気味と取るかは両極端にわかれる作品でしょう。
ちなみに
群青学舎は
学舎とは名ばかりで読んでみたら時代も場所も人物も異なるオムニバスで面食らいましたw
本作も不思議な空間としての未来や過去の描写と、実際に時間経過した現実の描写と、それを見せた上で、僕が感じた
気持ち悪さを作品があっさりと認め、意外と酔いしれるだけでいるのを許さないところに今回
気持ち悪いだけじゃない感想を書く契機となりました。
制服に守られてた頃は、挫折も妥協も知らなくて、自分のためだけの確かな道があるはずって信じてたっけ。他の生徒たちも変わんないよ。自分があたりまえの女の子でなんかありたくないんだなァ。普通のオバサンにだけは死んでもなりたくない!みたいなねー
ところで先にあげた
魍魎の匣ですが、著者は
京極夏彦です。
本作
ひみつの階段で、小説家を目指していた女の子が数年後OLと兼業で書いているのですが、その女性が卒業生だと言うのもあり学校で人気がある、という描写があります。
1位がその人物で、そして2位には
京獄夏比古!?www
いやあ、これには笑いました。主題が異なるとは言え、読みながら
魍魎の匣の2人を連想した僕ですが、あるいはそういう意識が作者にもあったのかも知れませんね。
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大極宮 -大沢オフィス公式ホームページ-◆
中二病 - Wikipedia
Tags : ひみつの階段 紺野キタ 京極夏彦 京獄夏比古 魍魎の匣