白の闇の映画化
ブラインドネス観ました。
昨年
ダークナイト(
THE DARK KNIGHT)を
観に行った時に映画館で予告が上映されて凄く興味を持ったのですが、当時は結局映画館へは行かずに原作
白の闇に手を伸ばしました。
海外文学にはよくある改行無しの1段落真っ黒頁が多く、しかも3人称の小説でありながら会話は地の文での説明のみ
鍵括弧「」が
全くない記述と体裁だけでも面白く、それでいてなんら混乱することもなく読めた本文(訳文)。
そして、突如世界を包む失明の恐怖と、それによって壊れる社会性と表れる人間性。
とにかく凄い小説でした。
そんなわけで原作を踏まえて観たのですが、これまた「凄い」のひと言。
アップのカットが少なく映像的には凄く地味なんですが、それが日常から突如巻き起こる恐ろしさを絶妙に表してて、また最初の失明者が
伊勢谷友介で娯楽につきものの人種による共感を払拭しつつ、それでいて人種をまたいだ世界における恐怖、その象徴としてもすごくうまかった。
木村佳乃との夫婦の会話では日本語を喋り、他の人物には英語と日本以外への演出的にも面白かったのではないか。
個人的には日本語での演技は抑揚なくて地味で芋だと思いましたがA^^;
本作の主演は
ジュリアン・ムーア(
Julianne Moore)で、主演として目立っていながら、それ以外の人物も埋もれることなく群像劇として見事に原作を踏襲していて驚いた。
それと重要な脇役の黒人が見たことあるなと思ったら
ダニー・グローヴァー(
Danny Glover)だったんでびっくり。これまたいい仕事してました。
原作でも恐ろしさの一端としてある施設での女性の扱い。これは原作よりも映像として視覚を通すぶんより欲求と不快が大きかった。
音楽は主張せず効果音やあくまで無音を避ける程度の作りだったのだけど、音楽ではなく劇伴として素晴らしい仕事だったと思う。
この原作を120分という尺でおさめつつ、原作に対して省略はあっても欠けることなく見事に映像化された印象。
ただ、原作付という相対評価では素晴らしいが、元々が
日常が破綻した別の生活を描いている地味作品だけに、映像としての娯楽性は低く、映画としての絶対評価は、正直地味ゆえになんともって感じ。
原作知らないほうが怖かったり楽しめたのかもしれない。改悪もなく原作既読者として素晴らしいと思えるだけに映画の印象が薄くなった僕個人の失敗。
内容や主題などは異なるけど、
ドッグヴィルにも通じる表現、指向とも思った。
原作未読者の感想が聞きたいなあ。
それにしても、
ジュリアン・ムーア(
Julianne Moore)今年で49歳とか。今作では映画(ハリウッド)的でない女性としての色気が出ていて良かった。老けたじゃなく重ねたって感じ。今年で49歳かあ。すげえなあ。
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