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【映画スカイ・クロラ】青空を見上げた時の清々しさと虚しさ。あれ?押井守監督作品なのに面白い!? このエントリーをはてなブックマークに追加

森博嗣原作、押井守監督のスカイ・クロラを観た。

映画スカイ・クロラのDVDとサントラ

原作はSM,Vシリーズを全部読んでるのもあって森博嗣作品なので読んだんですが、はっきりいって白身が多く文章向きの作品ではない、長文ぎっしり好きの僕には合わずに1巻だけで見限ってそれきり。
んで、今回は原作を知ってるし押井守なので相変わらず原作を更にほじくって諄い作品になるのかなあ、と思ったら、あれ?押井守なのに、お…面白い!?

■いつもと同じだけどいつもと違う

スカイ・クロラ the sky crawlers [DVD]実写と見間違える程の鮮やかな空と飛行機のドッグファイトから始まるAvant-Title(Cold Open)。
これまでイノセンスなど映像的な実験を繰り返し、凄い視覚効果でAvant-Titleからwktkしながら本編に入ると諄い長台詞で全部説明して映像と物語が乖離し「結局なんなの?」と良くも悪くも我が道を行っていた押井守ですが、今回は飛行機で戦う不死の子供達と言う歪な幻想を象徴し、かつ映像的にも娯楽性を孕んだ素晴らしいAvant-Titleでした。しかも、それだけで終わらなかった。
映画を観る前に曲だけ聴いた時は「外れ」だと思っていた川井憲次の音楽が実際に映像のTITLEを観てやばかった。はまりすぎる。

YouTube - スカイクロラ メインテーマ

■薄味だけどしっかりと娯楽

美しい空を翔る飛行機と、その幻想的な場所での淡々とした生活を描いた原作なので押井守が絡み更に娯楽性は薄くなっているが、脚本が押井守じゃないせいか、静かだけどきちんと展開する物語、それでいて飽きない程度に良いところで見せるドッグファイトなど構成も良く、ハリウッド的な設定でヨーロッパ風に仕上げた感じ。

■ひねくれた大人が趣味で作った結果

もともと飛行機好きな森博嗣が趣味で書いたような作品を更に押井守の趣味で補強した感じ。
冒頭いきなり(原作にはいなかった)バセットハウンドが仰向けで寝てたりイノセンスでも見せた犬好きをアピールw
原作では男性だったキャラを女性に変更し榊原良子が演じていたり、相変わらずの押井守を楽しむこともできる。
所見には関係ないし作品としては違和感もなく良かったと思う。

■作風を保った萌えキャラ

草薙水素が眼鏡っ娘だったり、大酒飲みだったり、トイレで化粧直してる女性から口紅だけ借りて自分に塗るり水で髪をかきあげて凸曝しとか、作風を外さずに萌えどころがあるのが良かった。
特に凸曝しの場面は作品的にも意味のあるところだし、攻殻機動隊などでも見せた無機質なのに魅力的な表情がたまらんかった。
個人的には仲間連中とボーリングしてるとこが良かった。ネクタイの剣先を胸ポケットに入れて球を投げたり、投げ終わった後に髪を書き上げて歩く様とかえらい良かった。
ただ中の人が芋で泣けたw
草薙水素の娘、草薙瑞季が最強の萌えキャラだろうか。幼女だし←
溶接眼鏡をかけて「バァ!」と犬を脅したり、中の人も実際に子供でたどたどしいところがきちんと活きていた気がする。

■カメラワーク

カメラ演出は素晴らしかった。
アニメは絵を描いているわけだから好きなところに被写体をおける。しかしあえて現実に空撮したように振動などのブレや、人が担いで撮影してるような手ブレなどで生々しさを表現している。
ウォーリー(WALL・E)のダイジェストでスーパーバイザーのインタビュウで面白い事を言っていたのを思い出した。実写はこれまでブレやボケなどに苦労して撮影してきた、それをアニメでは好き好んであえてブレやボケを再現してるのだから面白い。
また、撃墜されて海に落ちる飛行機を追いかけてカメラまで海に落ち、海面を垂直に映し海中と海上をプカプカとただよい水滴などもレンズについてる演出など、人物の作画以外は徹底して現実を目指し、それでいてアニメらしい縦横無尽なカメラワークをこなして良かった。
このカメラレンズにつく水滴の演出は、ゲームメタルギアソリッド2の主観視点で泳いで地上に上がった時にも用いられて、あれも良かった。

■個人的なマイナス点

幾つか余計なカットがあったようにも思えた。飯屋の店主が1人で煙草を喫うところや、メインテーマを流すだけのオルゴールとか。
あとFade Outが多かったのと、魚眼レンズ的な画が多かったのも僕には諄いと感じた。
無限ループって怖くね?的な作品なので同じカットが観られるのは良いにしても、飛行機の中のカットが似たようなのばっかでそこが少し残念だった。
あと、ところどころアス比おかしくね?と思うような人物の作画が観られた。基本的にほっそりした作画なのだけど、顔の幅はもう少しふっくらさせたほうが自然なんじゃないかと、特に正面の作画で思った。

■青空を見上げて時の清々しさと虚しさ

主人公の函南優一が作品のクライマックスで言う言葉。これが作品の全てを物語っているように思う。
いつも通る道でも、違う所を踏んで歩く事ができる。
いつも通る道だからって、景色は同じじゃない。
それだけでは、いけないのか?
それだけの事だから、いけないのか?
先述したけど、ハリウッド的な設定でヨーロッパ風に、明るいけど排他的、物語ではなく生活を描いた作品
映画にある種の気持ちよさを求めたら、この映画は実に詰まらないと思う。感情移入も難しいキャラばかりだし。
だけど、自分には無関係だけど綺麗な何か(幻想)にときめいたり、あるいは観てたい、という人はガッツリはまるんじゃないだろうか。
レンタルで初めて観て面白いと思ってDVDとサントラを購入し、この記事を書きながら再生してるので合計3回は観ている。
あの青空からエンドタイトル、あれで言葉にならない高揚と虚しさにやられて正直何が面白いのかわからないけど、3回も観てしまった。

■これは映画なんだなと思った理由

これは映画館(劇場)で観て初めて面白いと思える作品じゃなかろうか。大画面で観てこそ、あの圧倒的な空と、そこ下に住まう人達と言うギャップが活きてくるのであって、小さい画面で観たらただの地味な作品じゃないかとは思った。

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関連リンク
押井守監督最新作 映画「スカイ・クロラ The Sky Crawlers」公式サイト
ガブリエルの憂鬱 ~押井守公式サイト~
森博嗣の浮遊工作室
川井憲次 Kenji Kawai Official Site
押井守 - Wikipedia
森博嗣 - Wikipedia
川井憲次 - Wikipedia
スカイ・クロラシリーズ - Wikipedia

スカイ・クロラ the sky crawlers [DVD]

Tags : スカイ・クロラ 森博嗣 押井守

未分類 [ 2009/11/15 20:04 ]