またどこかで会おう。え？終わり？

■それなんてB級？

題名と序盤の展開から、僕は謎の霧(ミスト)に包まれた場所や人物に対して何か起こる(人が消えるなど)と理不尽に起こる謎の現象が怖いという類いの作品だと思っていたのですが、あっさりと怪物が出てきます。つまり心理的よりも体験的なホラー作品で、正直序盤の触手が出た時点で僕は「これなんてB級？」と結構冷めてしまいました。
ごめんなさい、間違ってました。
襲ってくる霧の中の何か。そして、その何かに対する人間。
触手の後からが凄かった。
正直、襲ってくるのが虫系が多く予備知識があったら僕は絶対観てなかったろうと思います。
しかし観て良かった。
映画史上かつてない、震撼のラスト15分。
たしかに言うだけのことはある。
けれど、これはこの落ちがどうこう言うよりも、その落ちに納得してしまうだけの現実感、そこまでに至る人達の行動と、そうしてしまうだけの霧と何か、吃驚箱もドキドキジワジワ来るわけでもなく、ただのめり込んで怖くなる。
正直、ホラーとしての路線はよくわかりません。ブレア・ウィッチ・プロジェクトみたいな含みもなく、はっきりと姿を見せるモンスター系なのにCUBEのような人間こそが肝心な…。

■カメラワークと音楽

この現実感はカメラワークと音楽にあると思う。
カメラは如何にも映画なきちんと固定し被写体をはっきりと映す。それと、ドキュメント的に上下左右に要らぬ揺れを含んで人物を追いかけ映す。この2種が非常に明確に使い分けられていて、観客のドキドキ感から気付けば人物のやりとりに対する反論や逃避を想像してしまう。
そして、映画作品であるし音楽もあるのだけど、これが基本的に薄味、余り主張せずに所々を埋めていき、そして後半において一気に表れる。
ただ、個人的には最後の最後、あの曲は要らないんじゃないかと思った。音楽が流れることで、観客は作品として一線引いて観てしまうのではないか、最後に主人公がアレを見て、その後にとった行動、そして…。
そのそして…に曲が流れたので僕はある意味で観客として目が覚めてしまい、非常に何とも言えない気持ちになった。

■知った顔がいっぱい

今作の出演者は、名前も作品も出てこないけど、なんか見たことある、というかなり通好みの配役です。
マーシャ・ゲイ・ハーデン(Marcia Gay Harden)なんて最初「あれ？」とか思って見終わった後に確認したらミスティック・リバーのティム・ロビンス(Tim Robbins)の奥さんじゃないか。
ウィリアム・サドラー(William Sadler)も顔だけで全くどの人か思い出せなかったけど、ロズウェル - 星の恋人たちだったとは、そりゃ思い出せん筈だ。あれはね…A^^;

■結末に対して

序盤に襲ってくる触手の正体が明らかになった時は笑ってしまいました。正直なところ絶望感だとか臨場感だとかは感じなかったけど、つまりこの霧の中の世界がどれほど馬鹿馬鹿しいか、それを否が応にも見せつけられた感じ。これはトレイラなど予備知識なく観られて良かった。
そして…映画史上かつてない、震撼のラスト15分。
「うわぁ…」これが正直な感想。ありえない世界だからこそのホラーに対して「あるある」なんて思わせる人の利鈍をさんざん見せておいて、最後これですか。
娯楽としてはどうかと思うけど、僕は非常に納得した結末だった。
「ああ…うわぁ…」と。

■観てはいけない人

虫系が駄目な人は絶対に観てはいけません。R-15指定のグロさよりも、恐怖対象の怪物が虫系でしかもよく出来ているので、モンスターや恐怖感を味わいたいホラーという意味では少し違いますので、とにかく虫系が駄目な人は絶対に観てはいけません。

■終わりに

観られて良かった。一緒に借りたアイアンマンが絶賛出来ない感じだったけど、その後にこれを観られて良かった。
ただ、余り繰り返して観たくない…w
作品としては文句なく、ホラーとしても怖いけど、ホラー好きでもないし正直あの虫系をそう何度も観たくない。R-15のグロさと言うより、やっぱり虫系がネック。DVDが欲しくなったし人にもすすめたいけど、そうぽんぽん観る映画でもないのも慥か。
凄い作品なのに観られない、そんな困った映画でした。

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関連リンク
◆映画「ミスト」公式サイト
◆ミスト (映画) - Wikipedia
◆超映画批評『ミスト』90点（100点満点中）
◆スティーブン・キングが「2008年映画ベスト10」を発表:アルファルファモザイク