「人狼 jin-roh」好きにおすすめのブラジル映画「エリート・スクワッド」というので見ようと思いながら、最寄りのゲオには置いてなくて見られなかったのがitunesに2だけあったのでついに見た。
まず、時系列が急序破急と結末を冒頭で見せて経過を本編にする構成が良かった。
メメントや
絡新婦の理 など、この構成に名称があるのか知らないが、大好きな構成。
犯罪や腐敗に対する行動として、
ダークナイトでも倫理を問う対抗策が見せ場の1つであったけど、
エリート・スクワッド ブラジル特殊部隊BOPEでは、その手段がより現実的で利鈍が明確になっていて、恐ろしいと思わせずに思わせる流した演出など、とにかく現実と幻想の折り合いが凄い。といっても自分はブラジルの実情を知らないので、だからこそ違和感の基準がなくのめりこめた、というのもあるが。演技も、人種が多彩で日常の声色や表情を知らないだけに、いずれもそういうものだと難なく受け入れられ、だから実際には言うほどグロくないのに暴力がちゃんと受け入れがたく見たくないと思えるようなものになっている。
フィクションとして許容され楽しめる範囲だが、それでも娯楽としてだけ受け入れることは出来ない作品、という意味で、
ミスティック・リバーや
リミット(Buried)以来にきいた映画だった。世間じゃ奇麗で受け入れやすい
グラン・トリノのほうが評価高いし話題になるが、個人的には
ミスティック・リバーこそアカデミー賞をとるべきだと思うし、全然展開せず社会風刺だけと言われて低評価の
リミット(Buried)は、少ない役者と撮影機材を駆使して同じ場所を違うように見せて、違うものを同じように見せてる工夫と無駄の無い展開と娯楽性と並行する現実社会の問題提起、映画に含まれる要素を全て含んだ素晴らしい映画でもっと売れるべきだと思うのだけど…。
何が
レ・ミゼラブルだよ。貧困も陵辱も避けてただ撮影が大変だろうとわかる歌をうんざりするほど連続して、映画の基本的なことを無視して映画という媒体の悪いところを見せつけて、市民が動いたことに意味があるのに自分で動かない観客が無能を棚上げて共感しましたとかほざくしょうもない
2013年の最悪な映画が売れて、本作はビデオレンタル店に1本も置いてない。
不満点
音楽はいらなかった。ドキュメント風に撮影されて、しかも、それがよく出来ているので音楽が流れると途端に作り物だと思い知らされてひいてしまう。同じ理由で、残り30分からいっきにドキュメントから映画になってしまったように思う。社会の側面から、主人公の感情と事情が中心となり、いちおうの解決する。でも作られた話だからこそ映画としておいしいところがあるのも事実。冒頭では立場でも感情でも敵対関係だった2人の男が、話が進むにつれて立場と理想と人間関係において合致して同じ場所、同じ目的で行動する。それも、俺たち仲間だろ、とか言わないし思ってないし、それがただ悲惨な現実の側面の1つとして、そういう関係もあるんだよ、描かれてるのが熱い。他にも、主人子の息子が犯罪者の女をかばって「俺(父)に嘘をついてまで、あの女に惚れてるのか?」の返答を無言でニヤリとする息子がたまらん。
新聞記者のレイプはちゃんと描写してほしかった。これまでさんざん大変な状況を描写してきたのにそこは無いのかよ、と。
告発の行方までやれとは言わないし思わないけど、
ドッグヴィルくらいの意味や描写は欲しかった。国外配給の事情かな、とか見ていて思った。
言葉での説明が多すぎる。ナレーションやキャラの話とか。でもそこはドキュメントっぽい演出で違和感を薄めているし、無駄な情報は無いので、言うほどの不満ではないかも。
何回も見たくはないが1度見たら語りぐさ
個人、家族、社会、組織、善悪などなど、あらゆる要素があって必須のものとして構成され、また視覚的にも予算と手間をかけた大作映画になっていて、すげえもん見せられた。人狼スレで知らなければ一生見る機会がなかったかもしれない。運が良かった。この映画を参考に
犬狼伝説をアニメ化してほしい。